食中毒の季節といえば夏、というイメージがあります。
確かに食中毒の発生件数は6~10月に多く、8月がそのピーク。
しかし、食中毒の患者数は5月ぐらいから増え始めます。
私達の身近なところで起こりやすい微生物性食中毒は、食品中で増殖した細菌が原因となって起こります。
(1)食品中で増殖した菌が、食品と共に人間の体に入って、消化管内でさらに増殖した場合
(2)食品中で増殖した菌が、食品と共に人間の体に入って、毒素を作る場合
(3)食品中で菌が増殖する際に毒素を作る場合
(1)および(2)は食品を加熱し、細菌を死滅させることである程度防ぐことができますが、(3)の場合は加熱しても毒素が残るため、防ぐことが難しくなります。
このように書くと細菌=悪者といったイメージですが、細菌は自然界、また食品中にある程度は存在して当たり前なのです。
しかし、食品中の細菌が増えすぎると食中毒を発生させる可能性が出てきます。
気温や食品の温度が上がる今の季節は、細菌の増殖スピードも急上昇するので要注意。
今回は家庭でできる食中毒予防のポイントについて、特に冷凍冷蔵庫の管理について取りあげてみました。
食品を購入したら、食材の温度が上がらないようにまっすぐ帰宅し、すぐに冷蔵庫・冷凍庫へ入れるのがベスト。
しかし、冷凍冷蔵庫にも細菌が生息していますので過信は禁物です。
野菜室に袋などに入れずに野菜を保管し、野菜くずが残っている場合、またドアポケットには意外に細菌が付着しています。
卵ケースも注意が必要です。
すべての細菌が食中毒の原因となるわけではありませんが、冷蔵庫の中に生息する細菌が食品に付着し、細菌数が増えるのはやはり問題です。
これを防ぐには冷蔵庫の掃除が必要なのですが、布巾で水ぶきするとかえって細菌数が増えることが分かってきました。
低温の冷凍室やチルド室を頻繁に掃除する必要はありませんが、野菜室やドアポケットなど汚れやすい部分はこまめに掃除。
野菜室は水ぶきした後、消毒用エタノールで除菌、また野菜は袋に入れて保管する方がいいようです。
引用元/
なかよしくっく保育園食育コラムNo.2 2008年5月号
著者/伊藤知子
大阪国際大学人間科学部人間健康科学科准教授
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